× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 短編小説?みたいなもの。 夕陽が浮かぶ帰り道。 私は自転車をかっ飛ばして、悠々と走っていた。 トンネルを抜ければ急カーブ。 その次に坂道が続く。 私はいつもその道を立ちこぎで一気にのぼるのだ。 上りきるとアーチ状になった坂の下には川が流れていて。 川沿い沿って小さな道が、くねくねと曲がっている。 私はそれを見るのが好きだった。 そして何より、その後に続く下り道。 ノーブレーキで進むときの流れる景色が、たまらなく好きなのだ。 だから私は、制服のスカートを翻しながらも豪快に自転車をこぐ。 黒いスパッツを穿いているから支障はない。 目前に迫るトンネルに入り。 暴走族のあんちゃんたちが描いた絵を横目で見ながら、私は心躍らせる。 今日はどんな景色が見られるだろうか。 それだけを想い描いて。 グッと力を入れたひと漕ぎ。 トンネルを抜けると思ったその瞬間。 「危ない!」 「・・・!?」 見事に、左から曲がってトンネルに入ろうとした自転車にぶつかった。 キキーっというブレーキの音が響いて。 私はバランスを崩し、自転車から放り出された。 「大丈夫?!」 慌てた声に顔を上げると、ぶつかった自転車に乗っていた人が、わざわざ手を貸してくれた。 ・・・うぅ。いい人だ。 「すみません!」 明らかに前方不注意&スピード出しすぎな私の責任だ。 そう思い、がばっと頭を下げる。 「いや。俺も前見てなかったから・・・」 ごめんね。と頭をかいたその人に、私はなんだか見覚えがあった。 遡ること約2,3年。 小学校のときに、私は1つ年上の友人と一緒に学校に通っていた。 ・・・確か、この人。 先輩だったような・・・? 名前は聞いたことがなかったが、顔は見たことがあった。 私の通っていた小学校、クラス数は3組ほどで。 1つ上の先輩方とも少々交流する機会があったので、顔ぐらいは把握しているのだ。 ・・・でも、さすがに。 卒業した今となっては覚えているはずもないか。 ふと彼の自転車のカゴを見るとスポーツバックが。 ―――そういえば、この人。 じっと、学ランに変わったその姿を目にうつす。 人って、着る物が変わるとこんなに印象変わるんだ。 ちょっと、カッコいいかも。なんて不純な思いが頭を掠める。 「この道ってトンネル抜けるとき右と左、どっちに曲がるにしても車が来るのとか見えなくて、危ないよなぁ」 「はい。私もよくこの道通るんですけど。危ないですよね」 たはは、と不注意だった自分を思い返し、改めて反省した。 ・・・本当にすみません。 内心、しょんぼりと項垂れていると。 「あれ?・・・きみ。吉村と学校通ってた子?」 「あ、はい。・・・先輩、ですよね?」 「あ、俺のこと知ってんだ?」 「・・・バスケ部の?」 「それ。俺!記憶力いいね~」 久しぶり。っと、彼はやさしく目を細め。 懐かしむかのように、私に微笑みかけた。 ―――覚えてて、くれたんだ。 にへっと頬が緩んで。 なんか、いいな。こういうの。 なんて思ったのは、ここだけの秘密。 +++ 実話です(ぇ/笑) PR COMMENT COMMENT FORM
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