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短編小説?みたいなもの。

【つづきを読む】からどうぞ♪


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夕陽が浮かぶ帰り道。
私は自転車をかっ飛ばして、悠々と走っていた。

トンネルを抜ければ急カーブ。
その次に坂道が続く。
私はいつもその道を立ちこぎで一気にのぼるのだ。

上りきるとアーチ状になった坂の下には川が流れていて。
川沿い沿って小さな道が、くねくねと曲がっている。
私はそれを見るのが好きだった。
そして何より、その後に続く下り道。
ノーブレーキで進むときの流れる景色が、たまらなく好きなのだ。

だから私は、制服のスカートを翻しながらも豪快に自転車をこぐ。
黒いスパッツを穿いているから支障はない。

目前に迫るトンネルに入り。
暴走族のあんちゃんたちが描いた絵を横目で見ながら、私は心躍らせる。

今日はどんな景色が見られるだろうか。
それだけを想い描いて。

グッと力を入れたひと漕ぎ。

トンネルを抜けると思ったその瞬間。

「危ない!」
「・・・!?」

見事に、左から曲がってトンネルに入ろうとした自転車にぶつかった。
キキーっというブレーキの音が響いて。
私はバランスを崩し、自転車から放り出された。

「大丈夫?!」

慌てた声に顔を上げると、ぶつかった自転車に乗っていた人が、わざわざ手を貸してくれた。
・・・うぅ。いい人だ。

「すみません!」

明らかに前方不注意&スピード出しすぎな私の責任だ。
そう思い、がばっと頭を下げる。

「いや。俺も前見てなかったから・・・」

ごめんね。と頭をかいたその人に、私はなんだか見覚えがあった。

遡ること約2,3年。
小学校のときに、私は1つ年上の友人と一緒に学校に通っていた。
・・・確か、この人。
先輩だったような・・・?

名前は聞いたことがなかったが、顔は見たことがあった。

私の通っていた小学校、クラス数は3組ほどで。
1つ上の先輩方とも少々交流する機会があったので、顔ぐらいは把握しているのだ。

・・・でも、さすがに。
卒業した今となっては覚えているはずもないか。

ふと彼の自転車のカゴを見るとスポーツバックが。
―――そういえば、この人。

じっと、学ランに変わったその姿を目にうつす。
人って、着る物が変わるとこんなに印象変わるんだ。

ちょっと、カッコいいかも。なんて不純な思いが頭を掠める。

「この道ってトンネル抜けるとき右と左、どっちに曲がるにしても車が来るのとか見えなくて、危ないよなぁ」
「はい。私もよくこの道通るんですけど。危ないですよね」

たはは、と不注意だった自分を思い返し、改めて反省した。
・・・本当にすみません。
内心、しょんぼりと項垂れていると。

「あれ?・・・きみ。吉村と学校通ってた子?」
「あ、はい。・・・先輩、ですよね?」
「あ、俺のこと知ってんだ?」
「・・・バスケ部の?」
「それ。俺!記憶力いいね~」

久しぶり。っと、彼はやさしく目を細め。
懐かしむかのように、私に微笑みかけた。

―――覚えてて、くれたんだ。

にへっと頬が緩んで。

なんか、いいな。こういうの。
なんて思ったのは、ここだけの秘密。


+++


実話です(ぇ/笑)
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