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窓側から2列目の一番後ろ。
そこが私の席だった。

一つ前には絵の上手な男の子。
お隣さんにはテニス部の男の子。
斜め前には元気のいい女の子。

3分の1しか女の子がいなかったから必然的に周りは男の子ばかり。

誰にも話したことがなかったけれど。
あのとき私は、あの人に話しかけてみたかったんだ。

+++


当時も誰にも言ったことがなかったけど。
私には気になる人がいた。

よく授業中寝ている人。
ただのクラスメート。
だけど、修学旅行の栞作りを手伝ってくれた人。
意外に話しやすくてビックリした人。

―――絵がとても上手だった、彼。

たぶん、きっと。
あの視線の先を見てみたかったんだと思う。

彼は、特に目立つタイプの人でもなく、どちらかというと暗くて、何をしているのか解らない人だった。
授業中はほとんどと言っていいくらい舟をこぐ。
先生によく小突かれて「そんなんじゃ授業態度で単位を落とすぞ」と言われていたっけ。
あのとき、起こしてあげればよかったのか、寝かせてあげていればよかったのか、今でもよく解らない。

最初は興味なんてなかった。
ただ、私の前の席の人だというだけで。
名前すらおぼろげな存在だったのに。

夏。
彼の名前をそこに見たとき、彼の絵を見てみたいと思った。

教室で夏期講習の申込用紙を手に私は悩んでいた。
すでに書かれている名前は1人。
このクラスでは、彼だけ。

その姿を見た先生に、彼はそっちの道へ進みたいのだということを教えてもらった。

…だからか。
繋がった一本の糸。
彼のしてきた行動を振り返ってみると、彼の青春は全て絵に費やされていたのだ。
ああ。なんて羨ましい。
授業中にカッターで鉛筆を削る光景を見て、私は思わず彼の名を呼びたくなる。

「あなたの絵を見せてください」

ろくに話したこともないクラスメートにそんなことを言えるはずもなく、日々は過ぎていった。

私がきまぐれにルーズリーフに描いた絵を一瞬物珍しそうに見て、特に気にした様子もなく目を逸らす。
それが悔しくて。
気にして欲しくて、私はわざと友達と絵の話をした。

+++

途中で書くのにあきました(ぇ/笑)

思い出を無理やり美化してみた(笑)
でも、まぁ、概ね間違ってはいない。
前にも書いた気がするけど(笑)

夏になると思い出す。
片思いみたいな綺麗なものじゃないけれど。
彼の絵は、きっと素敵なんじゃないかと、勝手に思っている(いい迷惑だ)

いつかまた会えたら、次は話してみたいな。

しおり作りのときには、手伝ってくれて本当に助かったし。
予想外に面白い人だった…。

…と言うか、私がここで言う気になる人って「人」に対する興味じゃない気がする。
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