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母が逝ってしまいました。

+++



早朝のメール。
たぶん8:30頃。
父から母が危篤とのこと。

急いで病院に向かいましたが、間に合いませんでした。
…車が、混んでいたのです。
なんだか、切ないですよね。

心のどこかで、ああ、コレが最期かって。
確信めいた思いが広がって。
それが現実で。

運転する兄と車の中で色々なことを話しました。
これからのこと。今までのこと。お葬式や費用のこと。
冷静な兄妹だな!ってお互いに突っ込んでしまいましたよ。
(だって入院費。1日15万って!orz)

こんな時だっていうのに、私は学校に行きたかった、なんて思うのです。
今日は色彩論と2Dがあるのに。
土日は課題をする予定だったのに。
友人と出かけてレポート書かなきゃなのに。
髪を切りにいって。
病院にいって。
母に会って。
それで。
・・・なんて、決めていた予定を思い浮かべては、全て狂ってしまった予定の帳尻あわせ。
いつまでに何をすれば課題が提出できて。
いつまでに何をすればこれが消化できる。
そんなことを考えている場合じゃないのに、私は生きていくための予定を立てるのです。

病院。
触った母はまだ温かくて。
解っているのに。
握った手が握り返されること、少し、期待してしまいました。
…もう、息がないって言うのにね。
それでも、って。
(淡い期待はすぐに消えて、酷く苦い想いしか残らなかったけれど)

父が、
兄と私が来るのを待ってあげられなかったね、と。
待っててくれれば良かったのに、と。
そっと母の頭を撫でて。
真っ赤な目から静かに雫をこぼしたのです。
(―――はじめて見ました。父の涙。)

それを見て、急に、胸が苦しくなりました。

――――あぁ。って。

息を引き取ったのが9:30頃。
死亡確認10:00。

+++

もうダメなんだ。
いくら名前を呼んでも。
いくら手を握っても。
呼びかけに答えてくれることも、その目に私を映してくれることも。
もう、二度と。

そう思うと涙がこぼれて。

…涙が、あふれて。

(もう いいよね って それを止めることはしなかった)
もう我慢しなくていいよね。
もう笑ってなくていいよね。

もう 泣いて いいよね。

(静かに流れる涙。堪えた嗚咽はノドを焼く)

+++

いくつの涙を呑んで
いくつの笑みを作っただろう

いくつの痛みを我慢して
いくつの楽しさを味わっただろう

決めてたの。
ずっと。

『どうせ泣くなら 全てが終わった後がいい』

意固地になって、必死になって。
それだけは、と守り続けて。
強がり続けて。
もう何年たっただろう。

たまに流れ落ちる涙もあったけど、たぶんそれもこの日のために流していたのね。
そんな日が来なければいいと思って。
ずっと。ずっと。

苦しみも悲しみも痛みも。
私が全部持っていかれたらよかったのに。
最後の最期まで痛かったのかな。
せめて最期くらいは安らかに逝ってほしかったな。
見とれなかった私には、そのときの状況がよく解らないけど。
もし最期まで痛かったのなら。
痛みを味わったまま逝ってしまったのなら。
なんて非情な。

+++

ね、お母さん。
私、やっぱり、神様なんていらないや。

お母さんは『神様なんていない』って言っていたけど。
私はどっちでもいいと思うの。

助けてって願って。叫んで。
神様によりどころを求めて。
それでその人が幸せになるのなら。
それはそれでいいと思うし。
嘘つきって喚いて。嘆いて。
神様を恨んで。
それでその人が楽になるのなら。
それはそれでいいと思う。

でもね。
私は、そういうの、いいや。
いらない。

神様が平等に不平等なんだって笑えるくらい強いから。
強く育ってしまったみたいだから。

もしも死後の世界があるのなら。
どうか母を見捨てないであげて。
母が神様を蔑ろにしたこと、代わりに誤るから、どうか痛みのない世界を。

神様に八つ当たりできるほど子供じゃなくて。
誰かを恨むほど弱くなくて。
何かに願うくらいなら自分で叶える。
そんな私を、見捨ててくれて構わないから。

一人ひとりに神様が存在するというのなら、私の神様はお母さんについててあげて。

+++

親戚がつぎつぎに扉を叩いて。
母の周りに集まった。

こぼれる嗚咽と流れる涙。
鼻をすする音。タオルとハンカチ。

凛が一番辛いねって伯母さんに言われて、ちょっとビックリしちゃった。
そっか、周りから見たらそう見えるのか、なんて。

残された家族は父と兄と私。
…気がつけば女1人で。そういうことかと少し納得。

口下手な2人。無口な2人。
コミュニケーションが苦手で、人から誤解されやすいタイプで。
そんな父と兄と。
この先のことを考えるとすごく不安になるけれど。
上手くやっていかれるかなという心配は正直言うとあまりないのだ。
だって、上手くやっていかなければいけないから。
それを、家族全員理解しているから。

+++

病院から家に帰って。
母の遺体が、布団に寝かされて。

管理人さんへの報告。
お掃除のおばさんと近所のおばさんがエレベーターの前でこっちを見ていて。
母の顔が見たい、と一言。
お掃除のおばさんとは仲が良かったからなぁ…。
お仕事中に泣かせてしまって、ごめんね。

家のなか。
お線香の香り。
葬儀屋さんとの打ち合わせ。

みんなが帰って。
明日はお通夜で、明後日はお葬式かなと思いながら。
私と兄はアルバムの整理。
つまり、お葬式に使う母の写真を探して。
結局父の携帯に入っている母の写真を使うことにした。

生前の母との約束どおり、私は写真を美しく加工しました。
(水月さんの本領発揮です!笑)
絶対に10歳は若返りましたよ。
ちょっとサービスしすぎたかなって思うくらい、綺麗にしといたから感謝してよね♪
これから母のアルバムの写真の数々をスキャナーで取り込んで印刷します。
母が天国まで持って行かれるように。
(私の最後のわがまま。
・・・忘れないで。みんなのこと。私のこと。)

そして今、いつものように。
リビングでこの日記を書いている。

後ろの部屋には母がいて。
今にも起きてきそう。
お腹が空いた。って、笑いながら。
私の後ろ。ソファで寝るの。

+++

泣き喚くのは、すべてが。

―――すべてが終わってからでいいから。

今は、静かにこぼれる涙を拭いて。
泣き言と一緒にお葬式までとって置きます(ぇ)
親戚の人の前では相変わらず笑っていなきゃ、とか思うし。
泣いている人を慰めるのは私の役目なんだろうなって。
(でも、そんな私をみんなは切なそうな痛々しそうな顔をしてみるのね)
(…当然か。/苦笑)

人が死んだら遺体になって。
それは腐敗していくだけ。
それを防ぐためにドライアイスを使って身体を冷やして。
数日経てば炎の中。
灰となって消えるだけ。

そんな現実が酷く空虚だ。

+++

連絡をくれた皆さま。
ありがとうございました。

しばらくの間、くよくよしているかもしれません。
落ち込んで、暗くなったり、突然泣き出したり。
不安定に浮き沈みする可能性が予想されます(^^;)
いつも以上に迷惑をかけるかもしれないけれど。
見捨てないでやってくれるとありがたいです><

私、神様に見捨てられても生きていかれるけど、みんなに見捨てられたら無理だと思うの!
(本気にしないでね。神様/笑)

でもきっと。
立ち直るし、受け止められる。

これから私がすべきこと。
それは、精一杯生きることだから。

一人前になって、幸せになることだから。

お母さんの分も、なんて言わないよ。
だって、お母さん。
充分幸せだったでしょう?

ちなみに私は、お母さんの娘に生まれて、幸せだよ。
だから、不幸だったなんて言わせない。
私みたいな娘を産んだこと、誇ってよ。
誇らせてあげるから。
胸はって、自慢しといて。

当分はそっちに行く予定ないから、会えないけど。
いつかまた、会えたら素敵だね♪

+++

悼みの緩和剤。
きっとそれは誰よりも私がよく解っていた。

涙の促進剤。
それは伴う痛みと共に愛しさも溢れて。

+++

私が慰安室で1人呟いた言葉。
ずっと痛くて眠れなかった母に。
横になることすらままならなかった母に。

「おやすみなさい」

…おかしいなぁ。
もう言いたいことも、話したいことも。
全部全部言ってしまった気がするよ。

自分でもビックリするくらい。
心残りが少ないなんて。

あ、でも。成人式。
見せてあげられなかったこと。
それだけが心残りかも。

でも、着物選びで散々着物姿見たしって思うと、ね。

どうしよう。もうすることないや。
私に出来ることは全部全部やったもの。
後悔とかする隙もないほど、思いつく限りのこと、ぜんぶ。

やっぱり、あれだね。
あとはもう、お母さんが幸せと優しさに満たされて天国に行くしかないね!

あ、手土産に私の作品持ってってね。
ちゃんと入れておくから。
お母さんの好きだった小説も。
気が向いたら遊びにおいで。
新しい小説書いて待ってるから。
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COMMENT
大丈夫だよ。
蜜柑はずっと凛さんのお友達。
みんなみんなずっとお友達だから、学校で待ってるよ。
蜜柑 | 2007/11/09 (Fri) 23:39:59 | EDIT
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